なるほど!THE.・プチ東洋医学講座 ~上工(名医)が未病を治す時、さわやかな風が舞う!編:後編~金子ブログ
前回までは、未病を治すことで、未然に大病を防ぐだけではなく、病気になりにくい体を作っていくのが東洋医学の真骨頂だということを解説しました。
では、理屈の上ではそうだとしても、実際にそのようなことが可能なのかということになりますが、今のところ、東洋医学の鍼灸に未病を治す効果があると言いきることのできる統計学的なデータはないはずなので、いわゆる科学的な証拠についてはありません。
しかしながら、東洋医学のそもそもの成立ち、先哲の残した書物、諸先輩方の経験談、患者さんの体験談、自分自身の経験等を合わせて考えて、現場の人間の肌感覚レベルでは、未病を治して病気になりにくい体を作っていくことは可能であると感じます。
そして、未病を治し病気になりにくい体を作っていくということは、現時点では、おおよそ考え得る最高の医療サービスの一つなのではないかと思います。
もちろん、病気をすることで自分に必要な何かを学んだり、何かを得たりすることもあるでしょうし、ケガの功名ということも中にはありますので、病気を単なる絶対悪として捉えているわけではありません。
しかし、長い人生において、がんばらなければならない時に倒れずにがんばれたり、社会や誰かのお役に立てたり、余暇を楽しめたり、趣味にいそしめたり等々…、自分の願望や人生目標を達成するために未病を治して健康状態を保っておくということは、充実した人生を送る上で大いに意味のあることだと思われます。
実は「未病を治す」という言葉には、病気を改善していくだけではなく、まだ本格的に病気が発症してない段階で体の異常を治し、病気になりにくい体を作っていくことも大事ですという東洋医学的な思想性も含まれているのですね。
以上、今回は東洋医学の上工の仕事である未病を治すということと、それに付随する東洋医学の効果や利点について、自分の経験を踏まえて少し詳しく解説させていただきましたがいかがでしたでしょうか。
これからは、病気を改善していくと同時に未病を治すという上工の仕事を可能な限り実践しながら、病気になりにくい体を作っていくことの大切さを患者さんにお伝えしつつ、東洋医学の本来の思想性やあり方を一般の方々に知っていただけるよう努力奮闘していこうと思います。